15歳の私が書いた「宣誓書」——気がついたら、その通りに生きていた
- 5 分で読めます - 2199 文字1. 古い作文との再会
ふとした瞬間に、昔の自分と向き合うことってありますよね。机の奥や古びたファイルの片隅から、今の自分を予見していたかのような過去の断片が飛び出してくる、あの感じです。
先日、1977年に書いた古い作文が出てきました。タイトルは「ここに宣誓する」。書いたのは、当時15歳の中学3年生だった私です。
正直に言うと、書いたきっかけはかなり不純でした(笑)。担任の先生が「作文を書けば内申点を上げてやる」と言ったんです。それに乗っかって、勢いに任せて書き上げた作文でした。今読み返すと、恥ずかしくなるほど大げさで、いかにも中学生らしい「俺は世界を変える」的な熱量が全開です。ところが、その厨二病全開の作文が、なぜか市の文集に掲載されてしまいました。
でも、この歳になって改めて読みかえしてみると、そこに綴られていたのは単なる少年の夢じゃなかったんです。高校受験という目の前の「荒海」を前に、震える足で立ち上がろうとする一人の人間の、切実で真っ直ぐな「設計図」だったんですよね。
当時の私は、自分の状況をこう書いていました。
「ぼくにとって、今年の一年間は、底知れない谷間から絶壁をよじ登っていくような苦しみを味わうことになるだろう。」
輝かしい未来への期待だけじゃなく、「自分一人でこの荒波を泳ぎきれるのか」という巨大な恐怖も抱えていた。それでも、その恐怖を抱えながら、自分の人生に一本の芯を通す決意をしていたんです。
なぜ今、この話をシェアしたいかというと——誰もが経験する「中学生時代の青臭い決意」こそが、迷いの中にいる今の私たちを救い、未来を形作る最強の贈り物になり得ると信じているからです。
2. 「ライフワーク」との出会い
1977年7月8日。夏休みを前に、周りが「受かればどこでもいい」と妥協し始める中で、15歳の私は自分の進むべき道を、驚くほど冷静に、かつ情熱的に書いていました。
「コンピューターは、ぼくのライフワーク。ぼくの才能や個性を伸ばすには、これをはずしては考えられない。」
受験を単なる通過点じゃなく、自分の個性を開花させるための「第一関門」として捉えていたんですね。さらに驚くのは、夢を実現するために必要な学びを具体的に挙げていたこと。「機械工学、電子工学、情報工学」の三つを学ばなければならないと、既に戦略を立てていたんです。
多くの人が15歳の決意を「若気の至り」として忘れていくように、私もこの作文のことはすっかり忘れていました。でも、富士通でのキャリアを経て、退職後に起業して、気がついたら——あの日書いたことを、ほぼそのまま歩んでいたんです。意識して貫いてきたわけじゃない。ただ、自分が面白いと思う方向に進んでいたら、40年後にこの作文と重なっていた、という感じです。
(キャリアの詳細は「はじめまして」に書いています。)
3. 「コンパクトで使いやすく」——夢が形になるまで
作文の中で、コンピュータへの具体的な理想をこう書き残していました。
「これを現在のものよりコンパクトな設計にして、より使い易いものにしてみたいというのがぼくの最大の夢である。」
当時はまだ、コンピュータが巨大で冷徹な計算機だった時代です。でも私は、それがもっと身近で温かな存在になる未来を夢見ていました。
この願いが、富士通でのエンジニアキャリアを通じて「命を吹き込む仕事」へと繋がっていきます。情報アプライアンスや組込みソフトウェア、そして今でいうVR/ARの世界(当時の言葉では「ユビキタスコンピューティング」)への興味も、根っこは同じところにあった気がします。
少年の日の「空想」が、気がついたら具体的な技術として形になっていた——そんな感じです。
4. 「GenbaFlow」:最終章への挑戦
技術者として経験を積む中で、私の視点は「それを使う人間の幸せ」へと向かっていきました。
今、会社の集大成として取り組んでいるのが GenbaFlow です。中小製造業の現場における日報業務などをデジタル化するサービスなんですが、その本質は効率化だけじゃありません。「コンパクトで使いやすく」という15歳の願いは、今、現場で働く人々の「誇り」と「笑顔」を支えるという価値へと進化しました。
15歳の作文と見比べると、なんか繋がってるなあ、と自分でも少し驚いています。
5. おわりに——あの作文、捨てなくてよかった
あの日の作文には、聖書から引っ張ってきたらしい一節も書いてありました。
「求めよ、さらば与えられん」
中学生がよくこんな言葉を知ってたな、と思いますが(笑)、まあ当時の私なりに真剣だったんでしょう。
振り返ってみると、あの作文を「意思の力で実現した」なんてことは全然なくて、ただ好きなことをやっていたら、気がついたらあの頃の自分が書いた方向に来ていた——それが正直なところです。
最後に、一つ聞かせてください。「あなたが昔、なんとなく思い描いていたことって、何でしたか?」
大げさな「宣誓」じゃなくていい。ちょっとした「こんなことやってみたいな」でも、案外、今の自分に繋がっているかもしれませんよ。
「子供の頃の夢が今の原動力」——よく言われる話ですよね。でも、これって本当のことだと思うんです。意識して守り続けた夢じゃなくても、子供の頃に心が動いたものって、何十年経っても自分の根っこにあり続ける。それが一番長続きする、継続の源になるんじゃないかな、と。