天文ニュース 国内外週刊 (2026-03-13〜2026-03-20)
今週のトレンド分析
今週(3/13〜3/20)の天文ニュースは、ひとことで言うと「すぐそこにある宇宙」を実感させてくれる1週間でした🌌
① 3I/ATLAS が太陽系に別れを告げた週
恒星間天体3I/ATLASが3月16日に木星に最接近(0.358AU)し、観測史上3番目の恒星間訪問者がいよいよ太陽系を去り始めています。中国の火星探査機「天問1号」が火星軌道から撮影に成功するなど、今週は世界中の望遠鏡がこの天体に向けられました。ハーバード大学のアヴィ・ローブ教授は「22の謎の異常」を論文にまとめており、その正体はまだ謎のままです。すばる望遠鏡も観測に貢献していて、日本の存在感も光りますね。
② JWSTが「地球から最も近い恒星系」に惑星候補を発見
アルファ・ケンタウリA星(地球から約4.4光年)の周囲に、土星質量級の系外惑星候補が存在する証拠をJWSTが捉えました。まだ候補段階ですが、「すぐ隣の星に惑星がある」というのは、天文学的にも感情的にも大きな話ですよね。「もし系外惑星があるとしたら地球に最も近い?」という問いに、いよいよ答えが出そうな気配があります。
③ 謎だらけの系外惑星が続々と登場
JWSTは今週、「組成が説明不能な系外惑星」と「史上最も厚いヘイズに包まれた系外惑星(Kepler-51d)」という、教科書を書き換えるような発見を相次いで発表しました。系外惑星研究の専門家会議 AASTCS 11(デンバー、3/16〜20)でも、JWSTデータを中心とした大気観測の最前線が議論されており、今まさに系外惑星大気科学の黄金時代が到来している感じがします。
国内では3月3日(今週前の話になりますが)の皆既月食が各地の天文台・科学館で観測・配信され、曇り空をくぐり抜けて撮影成功の報告が相次いでいます。宇宙のビッグニュースも大事ですが、こういう「地域の天文台が繋いでくれる体験」もいいですよね。あなたは月食、見られましたか?
恒星間天体
3I/ATLAS、3月16日に木星最接近——太陽系をついに後にする(3i-atlas.net)
観測史上3例目の恒星間天体が木星から0.358AU(約5360万km)まで接近し、その後は太陽系外へ向かう帰路へ。ALMA電波観測ではメタノール対HCN比が彗星史上最高値を記録するなど特異な化学組成が判明。スマート観測で得た軌道データは他天体と大きく異なるパターンを示している。
中国「天問1号」火星軌道から3I/ATLASの撮影に成功(Astrobiology.com / 3月)
中国の火星探査機が搭載するHiRICカメラで恒星間天体を撮影。中国初の深宇宙天体の直接観測として記録された。地球・火星・木星と異なる視点からの多点観測が、3I/ATLASの正確な軌道・物性解析に貢献している。
アヴィ・ローブ教授、3I/ATLASの「22の謎の異常」を整理・考察(Medium / 3月)
ハーバード大学のローブ教授が、3I/ATLASが示す非重力加速・極端な化学組成・奇妙な光度変化など22の未解明な特徴を体系的にまとめた。人工物の可能性は排除しつつも、既知の彗星・小惑星とは異なる起源天体の可能性を示唆している。
JWST・系外惑星
JWST、地球から4.4光年のアルファ・ケンタウリA星に系外惑星候補を発見(Space.com)
JWSTのMIRI(中赤外線装置)コロナグラフが、最近傍の太陽型恒星アルファ・ケンタウリAの周囲に土星質量級ガス惑星の存在証拠を検出。確認にはさらなる観測が必要だが、「最も近い星系に惑星がある」という可能性に天文学界が沸いている。
JWSTが「組成の説明がつかない」系外惑星を観測——定説を覆す可能性(NASA / 3月18日)
NASAがJWSTによる系外惑星の大気・組成観測結果を発表。既存の惑星形成理論では説明できない元素比を持つことが判明し、惑星形成・移動の過程に関する新たなモデルの構築が求められている。
JWST、史上最も厚いヘイズに包まれた系外惑星 Kepler-51d を観測(ScienceDaily / 3月17日)
「スーパーパフ惑星」として知られる Kepler-51d が、観測史上最大規模のヘイズ層に覆われていることが判明。ヘイズが組成・形成過程を完全に隠してしまっており、惑星の素顔の解明には新手法の開発が必要。3月16日付 Astronomical Journal 掲載。
AAS 系外惑星大気専門国際会議 AASTCS 11 が開幕(3月16〜20日、デンバー)
アメリカ天文学会主催の系外惑星大気研究専門会議が今週デンバーで開催。JWSTデータを活用した岩石惑星・巨大ガス惑星の大気観測、ハビタビリティ評価の最前線が議論される。今年の系外惑星研究の潮流を方向づける場として注目されている。
国内天文ニュース
すばる望遠鏡 OASIS計画の初成果——巨大惑星と褐色矮星を発見(アストロアーツ)
国立天文台・すばる望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡を組み合わせた OASIS 計画が初成果を発表。木星の18倍質量の巨大惑星「HIP 54515 b」と木星の60倍質量の褐色矮星「HIP 71618 B」を発見。高コントラスト撮像技術と天体位置変動の組み合わせが新たな発見手法として実証された。
すばる望遠鏡が3I/ATLASの彗星尾を鮮明撮影、木星軌道付近への到達を追跡(sorae)
すばる望遠鏡が2026年初頭に捉えた3I/ATLASの鮮明な画像が公開。今月下旬の木星軌道通過まで継続観測を実施しており、国際共同観測網の中核を担う日本の貢献が評価されている。
2026年3月3日 皆既月食——日本全国で観測・ライブ配信(国立天文台)
3月3日夜、19年ぶりに好条件で日本全国から観測できる皆既月食が起こった。曇天の地域が多かったが、倉敷科学センターや川口市立科学館など各地の天文台が雲の切れ間を捉えた赤銅色の月を撮影・配信。次の日本全国で見られる皆既月食は2029年1月1日。